“からだ”をつかう。<連載>

木漏れ日がさす森のなかでひと汗。

撮影/中野理  取材・文/織田真由[Roaster]

木々や土が香る森のなかにいるだけで、都会の喧騒を忘れ、日々の疲れが和らいだりリラックスできたりする。森のなかを少し歩くだけでも、健康に効果的な森林浴になるんです。今回は宮城県の南三陸町にある、FSC 認証(=国際的な森林管理認証)の森で行われたチェックツリー・ツアーと間伐体験の模様をレポート。

健全な森をつくるために、
木を切る。

歩みを遅らせる、下草が刈られていない山肌はFSC 認証の森だからこそ。下草が充分に育つ環境を整えるように間伐をすることで、下草が大地を支え、虫を呼び命を循環させる。その自然界のサイクルのなかで伸び伸びと生長した杉の、生命観溢れる光景がそこにはありました。計画的な伐採を行うことで、杉の質は向上し、営々と林業が続けられる。将来を見据えた優れた森林管理を感じながら間伐ポイントへと到着しました。

間伐材の選定方法を教わり、チェンソーでの模範間伐などのレクチャーを経ていよいよ実践。まずは杉を倒したい方向に向かって、ノコギリで三角形の切り口を作ります。一見簡単そうに見えて、実はかなり力を使う作業。息が上がり始めます。受け口が出来たら逆側から追い口を切ります。このとき、完全に切ってしまうのではなく、蝶番のようになるように少しだけ残しておくのがポイントです。最後は手で木を倒して終了。

木を倒した瞬間、濃厚な杉の香りが溢れ出し、南三陸杉ならではの美しいピンクの木肌が現れます。命をいただく儀式を体験し、倒した間伐材は輪切りに切り出してもらい、記念にみんなで持ち帰りました。ペーパーカップやバッグなど、私たちの日々の仕事のなかで大きな役割を持つ紙製品。FSC 認証林という持続可能な未来を見据えた事業から受け継がれたものであることを身をもって体感した、ちょっと嬉しい一日でした。

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