“からだ”をつかう。<連載>

健康のカギは「足」にあり。
Matty式で、不調にさよなら!

撮影/藤井由依(Roaster) 取材・文/岡林敬太

夏の疲れが出やすいこの時期、身体のさまざまな不調を解決するカギが、「足」に集中しているってご存知でしたか? 今回は、メディアにも引っ張りだこのカリスマ足ツボ師・Matty先生が、PTRに向けて特別に、不調解消レッスンをお届け。おうちで簡単にできるセルフマッサージから、職場での休憩時間などに思い立ったらすぐ実践できるテクニックまで、試してビックリの「足」のケアを紹介します。

臓器が元気になり
血行改善や解毒も!?

暑い夏が終わり、気候的には過ごしやすくなってきたにもかかわらず、「なんだか体調が悪い」とお悩みのPTRも多いのでは? それはもしかしたら、“秋バテ”と呼ばれる症状かも。夏場はエアコンや冷たい食べ物・飲み物の摂りすぎにより自律神経が乱れたり、血行不良に陥ったりしがち。その状態のまま秋を迎えると、夏の疲れが一気に出てしまい、「身体がダルい」「肩や腰が凝る」「よく眠れない」などの不調が出やすいのです。

そんなあなたにオススメなのが、「足ツボマッサージ」です。足ツボ師として20年以上のキャリアを持つMatty先生は、「自分の手で足ツボを刺激してあげるだけで、秋バテや疲れからくる体調不良はおおよそ改善されます」と胸を張ります。

Matty先生が足ツボ師になったきっかけは、自身の感動体験から。「会社員時代に体調不良になり、足ツボの施術を受けたところ、何ヶ月もなかった生理がその日のうちに来たんです。『このすごい施術をみんなにもやってあげたい!』との思いから、台湾に渡って修業し、足ツボ師になりました」

足ツボを刺激すると体調不良が改善されるとのことですが、そもそも足ツボって何なのか? そして、足ツボマッサージを行うとどんな効果があるの? Matty先生に解説してもらいました。

「中国では3,000年以上も昔から、足裏の状態から病気を診断して治療する技術が受け継がれています。それを体系化したものが、日本で言う『足ツボマッサージ』です。ツボとは、骨の近くにある末梢神経が集中する部分のこと。足裏に密集しているツボはそれぞれ、特定の臓器に対応していて、ツボを押すと、対応部位の機能が活性化されると言われています」

また、足ツボを刺激すると、血流の改善や老廃物の排出(解毒)が促されたり、全身の筋肉がほぐれて身体のバランスが整ったりもするそう。まさに健康のカギは足にあり! なのです。

足ツボ関連の著書を数多く出版しているMatty先生。自ら施術を行う「Matty式」のサロンは予約困難なほどの人気ぶり。モデル、芸能人、プロアスリートらも多く訪れるそう。

足ツボマッサージには台湾式、中国式、ドイツ式、イギリス式、タイ式などさまざまな流派がありますが、Matty先生は台湾式をベースとしつつ、フットケア先進国であるドイツやフランスなどのノウハウも取り入れ、「Matty式」という独自のメソッドを編み出しました。Matty式足ツボマッサージの最大のポイントは、「自分でも手軽にできる。初心者でも簡単にツボを捉えられる」という点です。

「人間ってたとえば、『足のこの部分からこの部分までを指で押して』とだけ言われても、最初から最後まで均等な力で押すことって難しいんですよ。そこで、『この指のこの関節を使って、ここからここまで、熊手をかくように押しすべらせて』などと具体的なレクチャーをすることによって、どなたでも確実にツボを刺激できるようにしたのが、Matty式です」

Matty式の効果の高さが話題となり、今や同業者が教えを求めて来るケースもあるのだとか。

必ず左足から始めて
最後に白湯を飲もう

Matty式の足ツボマッサージをセルフで行うにあたっては、いくつか注意点があります。それを意識するだけで効果は大きく変わると言います。

「まず、足をキレイにしておきましょう。角質が残っていると指の力がツボに届かず、効果を落としてしまいます。足ツボマッサージは、朝昼晩いつ行ってもOKですが、食後1時間以内は避けてください。食べ物を消化するため胃に集まっていた血流が分散してしまい、消化不良を起こす恐れがあるからです。また、指を押しすべらせるようなマッサージを行う際は、肌を傷めないよう、ボディオイルやクリームを使いましょう。お風呂で足を洗うついでに石鹸の泡を使って行ってもいいです」

「足ツボは、しっかり押さないと効果が出ないため、座面の沈まない椅子や床に座って行うのが理想的です。そして何より、心を込めることが大事。“気”は誰でも持っていて、主に手に宿ると言われているので、自分なりの気持ちを込めましょう。足ツボマッサージを行っている間だけは、テレビを見るなどの行為はできるだけ避けて、“ながら押し”をしないよう心がけてください」

ツボの押し方にもルールがあるそうなので、主なものを挙げてもらいました。

ルール1……必ず左足から始める。「その理由は、老廃物の代謝を促す心臓のツボが左足にあるからです。左足から始めたほうが、デトックス効果がグンと高くなるとされています」

ルール2……垂直に押す。「ツボを押すときは『これ以上押せない』と感じる行き止まりまで、垂直に押しましょう。骨に近い末梢神経まで刺激することで、高い効果を得られます。ただし、ただ強く押せばいいというわけではありません。“痛気持ちいい”程度の力加減がベストです」

ルール3……“1点押し”をする。「ツボ以外の場所に圧をかけてしまうと、血流が分散し、ツボ押しの効果も弱まります。1つのツボを両手の指で押すときは、必ず指を重ねて、ピンポイントに押すようにしましょう。また親指でツボを押す際は、ほかの指が別の場所に圧をかけないように注意してください」

ルール4……“3秒押し”を繰り返す。「ツボを押す時間は、1回につき3秒程度。3秒押してから力を抜き、また3秒押して……を繰り返します。3回同じ力で押せば効果が出ますが、ツボを外している可能性もあるため、慣れるまでは10回ほど繰り返すと確実でしょう。仮にツボを外しても副作用はないのでご安心を」

ツボ押しが終わったら最後に、老廃物を尿と一緒になるべく早く体外に排出させるため、その日の体温に近い温度の白湯(水を沸かしただけで何も加えていない湯)を200ccほど飲むといいそうです。 ※ただし、水分制限のある方は医師の指示に従ってください。

自分の弱点はどこだ?
解毒地図で探してみよう

以下が、足裏や足回りにあるツボの位置をわかりやすく示した、Matty先生監修の「解毒地図」です。ツボを押して痛みや違和感を感じたら、老廃物が溜まっている可能性があるということ。そのツボに対応する臓器が弱っているかもしれません。

身体の不調を自覚している人は、対応するツボを押してみましょう。自覚がない人も、解毒地図上の番号順にツボを押してみて、自分のウィークポイントがどこなのかを確認してみて。「痛み、ぷちぷち、ゴリゴリ」を感じたら、そこが弱っている可能性があります。なお、ほとんどのツボは両足の同じ箇所にありますが、心臓、脾臓、下行結腸、S状結腸、肛門のツボは左足のみ、肝臓、胆のう、上行結腸のツボは右足のみにしかありません。
ツボは足裏以外にもあります。こちらは足の外・内・甲側の解毒地図です。

次のコーナーでは、PTRに特にオススメの足ツボについて解説します!

PTRのお悩み別
ツボの押し方講座

立ち仕事をしたり、重いものを運んだり、はたまた長時間パソコンと睨めっこしたり……。PTRは日頃の業務で知らず知らずのうちに身体を酷使し、疲れやストレスを蓄積させているはず。

ここからは、Matty式足ツボマッサージの実践コーナー。すべてのPTRにぜひ押してほしい足ツボと、PTRに多いお悩みと言える「眼精疲労」「腰痛」に効く足ツボの具体的な押し方をレクチャーしてもらいます。自宅や職場での空いた時間にツボを刺激し、症状の緩和に努めましょう!

① とにかくまずはここ!
身体のゴミ箱を空にする
「腎臓・膀胱のツボ」

まずは、すべてのPTRに真っ先に刺激してほしい「腎臓と膀胱」のツボから紹介!

「腎臓と膀胱は、身体に溜まった老廃物を尿として排出させるための“身体のゴミ処理場”みたいなもの。ここの機能が弱っていると、身体の老廃物は溜まる一方です。ゴミをきちんと捨てに行かないと、部屋がどんどん汚くなるのと一緒ですね。なので、まずは左足の腎臓と膀胱のツボを押してから、自分の不調に応じたツボを刺激。右足も同様の手順で行い、最後に白湯を飲みましょう」

Matty式の基本となる腎臓と膀胱のツボ。最低限、以下の流れだけでも覚えておけば、その日の疲れはその日のうちに取れやすくなるそうです。

指を除いた足裏の縦幅のド真ん中が、腎臓のツボ(足裏の解毒地図参照)。まずは左足のこの箇所に、右手の親指の腹を、写真のように横向きにペタッと押し当てます。このとき、親指以外の指で、足の甲側のツボを刺激しないよう注意してください。あくまで“1点押し”が鉄則。3秒押したら力を抜き、そしてまた3秒押す……を10回繰り返しましょう。
腎臓のツボを押した力をしっかりキープしたまま、カカト方向へ指を押しすべらせると、カカトの手前で自ずと指がJの字を描くように曲がり、内くるぶしの下側に到達します。この一連の動作も10回行ってください。すると、腎臓と膀胱を結ぶ尿管がキレイになると言われています。
Jの字のゴール地点である内くるぶしの下の半円状の窪みが、膀胱のツボ(足の内側の解毒地図参照)。カカトに手の親指を引っ掛け、人差し指、中指、薬指の第一関節をできるだけ遠くに押し当てて、熊手をかくように手前に10回押しすべらせましょう。押しすべらせながら指を徐々に丸め込んでしまう人が多いですが、それだと効果は激減。最初から最後まで第一関節で刺激するように。

② デスクワーカーの強い味方!
眼精疲労を和らげてくれる
「目のツボ」

PC作業などによる眼精疲労にお悩みなら、目のツボを刺激しましょう。足の人差し指と中指、それぞれの第1関節から付け根までと、付け根から同じ長さ進んだ部分までが目のツボ(足裏の解毒地図参照)。手の親指の腹を、足の第1関節からツボの終点まで押しすべらせます。両足ともに10回ずつ。一時的な目の疲れを癒やしたい場合は、それぞれの指の付け根を各10回ずつ引っ張るだけでもOK。両足とも行うこと。

③ 腰痛が不安ならここを刺激!
カカトの縁にある「腰のツボ」

腰痛に効く「腰のツボ」は、カカトの縁にあります(足裏の解毒地図参照)。手の人差し指、中指、薬指の第一関節を使い、熊手でガリガリと引っかくようにアキレス腱の方向へ押しすべらせます。カカトの骨についた老廃物を剥がすイメージで、左右ともに10回ずつ。ちなみに、角質が溜まって白くなったカカトは、腰痛の前兆。今は大丈夫でも、今後の予防のためにぜひケアを。

休憩中に座ったままできる
お気軽エクササイズ

椅子に座ったまま気軽にできるMatty式のフットエクササイズも紹介しておきましょう。その名も“ひざポン”と“あしポン”。これらを休憩中にサクッと行うだけでも、血流が良くなって、足も脳もすっきりしますよ!

まずは“ひざポン”から。片足のひざと、もう一方の足のひざ裏を重ね合わせ、上の足をポンポンとバウンドさせます。すると、手の指では押しづらいひざ裏のツボが自ずと刺激され、足の冷えやむくみ、精神的なイライラなどが解消されます。なお、足先に靴やスリッパを浅く引っ掛けたまま同じ動作を行うのもオススメ。脱げないように意識することで血流が指先まで届くので、効果がさらに高まります。約20回ずつ、左右交互に行いましょう。回数に制限はありません。
続いては“あしポン”。椅子に座って片足を軽く上げたら、両手の握りこぶしの内側を使って、ふくらはぎ周辺を左右からシンバルのように叩きます。両足とも、足首からひざ近くまでを各10往復程度。“痛気持ちいい”くらいの力強さでポンポン弾むように叩きましょう。こうしてふくらはぎの筋肉をほぐすと、血液の循環が促され、全身の疲れが緩和されると同時に免疫力アップにも繋がります。

毎日の継続が大事!
足指を動かすのも◎

足ツボマッサージは1日1回でもいいので、毎日続けることが大事。眼精疲労などの一時的な不調改善に関しては、行ってすぐに効果が出ることもあるそうです。「慢性的な腰痛などについては、効果が出るまでに数週間かかるケースもあるため、焦らずじっくり継続しましょう」

正しいヒモ靴の履き方も紹介します。写真のように爪先を上げ、まずはカカトをヒールカップにピッタリ合わせます。その状態を保ったまま、痛くない程度にきっちりヒモを結びましょう。こうすれば爪先部分に捨て寸ができて足指の動きを妨げないため、血液の流れが良くなり、ひざや腰への負担も減ります。ヒモがない靴の場合も、まずはカカトから合わせることを意識して。

最後に、スターバックスコーヒーのヘビーユーザーでもあるというMatty先生が、日ごろ客席から見て感じていることを踏まえ、PTRにエールを贈ってくれました。

「私は『嫌なことがあったらスターバックスへ行く』と決めているぐらい、いつもみなさんの笑顔に助けられています。みなさんがお客さまに与えている力ってすごく大きいと思うぶん、笑顔の裏ではものすごく脳を使っていらっしゃるんだろうなとも思います。なので、どこかで鎮静(神経系の過活動を抑制)させる動きをしてほしいのです。たとえば休憩時間に靴を脱いで、足指のグーパー(開閉)運動を何回かしてみる。足ツボを押さずとも、そうやって足の指先に少し意識を置くだけで血流が促され、頭も心もスッキリしますよ。これからも良いコンディションで、私たちに素敵な笑顔を届けてください!」

Matty式の足ツボマッサージとフットエクササイズは、いずれも自分ひとりで気軽にできるのが強み。あなたも仕事の合間や帰宅後に、足元から健康を促してみてはいかがでしょう?

INFORMATION

Matty(マティ)
ツボ歴20年以上のキャリアを持つ足ツボ師。台湾足ツボをベースに現代の足のトラブルに対応した各国のフットケアを盛り込んだ「Matty式足ツボ」を考案。即効力と改善率の高さで評判に。テレビや書籍、講演会、セミナーなどを通し、自分でできる足ツボ・フットケアの直接指導も行う。東京・目黒で運営するサロン「Mattyレッスンルーム」では、Matty式特別施術を不定期で開催(要予約)。
URL/http://matty830.com/

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