“からだ”をつかう。<連載>

瞑想のススメ。

ストレスを減らし、
最大限のパフォーマンスを実現!

撮影/有坂政晴[STUH]  取材・文/兵藤育子

最近、海外セレブやビジネスマン、アスリートなどに注目されている瞑想は、日頃のストレスが軽減されるだけでなく、集中力を高めて、自分の能力を最大限に発揮することが可能になります。しかも特殊な技術は必要なく、ちょっとしたコツさえつかめば、誰でもできるものなのだそう。Uttal yoga&healing school(ウタール ヨーガ・ヒーリングスクール)主宰の椎名慶子(しいなよしこ)さんに、瞑想の効果と、日常生活に手軽に取り入れる方法を教えていただきました。

Uttal yoga&healing school 主宰 椎名慶子さん

「瞑想って、漢字からしてなんだか難しそうですよね。もっとかわいい字だったらいいのにって私はいつも思っているのですが(笑)」

椎名さんがこんなふうに言うのは、ヨガを通して瞑想を日々実践&レクチャーするなかで、その多大な効果を実感し、言葉のイメージだけで敬遠してしまうことをとてももったいないと感じているからこそ。

「瞑想は、心を何かひとつに集中させて、スッキリさせる行為です。瞑想をすると、緊張もせず、落ち込んでもいないニュートラルな状態に自分の心を戻すことができ、潜在的な能力をいつでも発揮できる状態になります」

とはいえ、意識的に心を集中させること自体が、慌ただしい日々ではなかなか難しいもの。目を閉じて落ち着こうとしても、「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ」と雑念が浮かんできてしまったり……。

「そもそも瞑想は、雑念のある状態から始まります。集中しようとして雑念が出てくるのは自然なことなので、それに気がついて集中し直し、また雑念が出てきて集中し直すことを繰り返します。そうすると雑念の出る頻度が緩やかになってきて、さらに次の段階へいくと、雑念が出ても心が安定したまま影響を受けない状態、もしくは雑念が一切出てこなくなります。これが理想的な状態です」

毎日お風呂で体を洗うように、
瞑想で心を洗う。

瞑想するときに大事なのは、リラックスできる場所を選ぶこと。
「たとえばベッドのある部屋に入ると、眠くなったりしますよね。それと同じで瞑想するときに座るクッションを決めるなど、瞑想モードになれるようなルールを作るといいでしょう。そして静かに目を閉じ、30秒から始めて、目標は2~3分。深呼吸を2、3回すると30秒はあっという間に過ぎてしまうので、そこから5回、6回と数を増やしていくとよいでしょう」

瞑想はいつやってもかまいませんが起きてすぐまたは寝る前に行うとより効果的だそう

「今日は嫌なことがあったなあ、などと考えながら寝ると、体がストレスを感じたまま寝ることになってしまうので、いい気分にリセットすることが大切です。忙しすぎて時間が取れないという人は、朝食、夕食の“いただきます”の前に30秒ほど深呼吸をして、心が静まってから食べ始めてはどうでしょう」

ちなみに瞑想中に眠くなってしまうのは、体が疲れているサイン。ゆっくり休息するのがいちばんですが、寝ても寝てもまだ眠い! というときは、食生活を見直し、消化によく作りたての新鮮なものを適量とってみてください。

それでは早速、具体的な瞑想のやり方を紹介していきましょう。

「体がこわばっていたり、緊張していると集中しにくいので、まずはストレッチから始めて、ある程度体をほぐし、集中が続きやすい状態を作ってあげるとより効果的です。場所を取らないうえ、イスや床に座ったり、立って行うこともできるので、職場などでリフレッシュしたいときもおすすめです」

背中の筋肉をほぐすストレッチ

背筋を伸ばして手はももの上に。息を大きく吸って吐きながら頭を下げて猫背になります。
息を吸いながら顔を空に向けて体を反らせ、吐きながら元の姿勢に戻ります。

「今回紹介するすべての運動に共通することですが、イスに座って行う場合は浅めに腰かけてください。一連の動きを2、3回繰り返してみましょう。この運動は、背中の筋肉をほぐす効果があります」

わき腹を伸ばすストレッチ

片方の手を体の横に置き、もう片方の手を真上に上げて息を吸います。
吐きながら手を上げたほうのわき腹を伸ばす感覚で、体を真横に倒し、そのままの姿勢で2~3回呼吸します。元の姿勢に戻して手を下げ、ひと息つきます。反対側も同様に行います。

「目の疲れや便秘、二日酔いなどに効果的です。立った姿勢で行うと、上半身だけでなく下半身も伸ばすことができます」

上半身をねじるストレッチ

息を吸って背筋を伸ばし、吐きながら上半身をねじり、ねじったほうの手を椅子の背に置きます。そのままの姿勢で2~3呼吸して、息を吸いながら元の姿勢に戻り、ひと息つきます。

「腰、胸、首の順番で体をねじるイメージです。戻すときは反対に、顔、胸、腰の順番を意識してください」

瞑想

イスに座って瞑想を行うときは、足を床にしっかりつけ、お尻を少し後ろに引きます。
腰幅くらいに足を開くと、より安定します。頭のてっぺんを空に向けて伸ばすような感覚で姿勢を正し、目を軽く閉じます。お腹をへこませるようにして鼻から息を吐き、胸やお腹を膨らませながら息を吸って止めます。息を吸って吐くことだけに意識を集中して、この動作を繰り返します。

「初心者は、呼吸に集中するのが最も簡単でやりやすいでしょう。深呼吸を繰り返して気持ちが落ち着いてきたら、自然な呼吸に戻り、区切りのいいタイミングでゆっくり目を開けてください」

気分がスッキリするなど何らかの効果をすぐに実感できなくても、日々繰り返していくことが大切だと椎名さんは言います。

「正直に申し上げると、私は瞑想がうまくできない生徒だったんです。それでも一日2、3分でいいからやりなさいってずっと先生に言われ続けて、そうした結果、ストレスに強くなったり、自分の心の動きを客観的に捉えることができるようになりました」

瞑想は誰でもすぐに始められる、心の洗濯といえそうです。

INFORMATION

Uttal yoga&healing school(ウタール ヨーガ・ヒーリングスクール)
住所/東京都渋谷区桜丘町30−3 カヲリビル3階(渋谷駅から徒歩5分、セルリアンタワー裏手)
URL/http://www.uttal-yoga.com/

マントラを唱えたりヨガの考え方や知恵を学ぶ「瞑想ヨガ」のクラスをはじめ、体を整える(エクササイズ)クラスも開催。また、アメリカ生まれのメソッド“シータヒーリング”を学ぶ「ヒーリング®セミナー」、日本生まれの整体法「均整術」を学ぶクラスなどがある。

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