“からだ”をつかう。<連載>

目指せ、疲れ知らずの身体。

撮影/有坂政晴[STUH]  モデル/佐藤里緒菜 イラスト/鬼頭祈 取材・文/赤木百[Roaster]

新年もすでに1ヶ月が過ぎようとしています。年末年始は家でゆっくり休んだものの、新年早々なんだか疲れやすいような……? そう感じている方には是非挑戦してほしい「疲れ知らずの身体を作る方法」。毎日疲れて夜にはグッタリ、動く気も起きない。だからますます運動不足で体力は衰える一方……。そんな負のループから抜け出して、仕事もプライベートも元気いっぱいの1年を目指しましょう。

今回、身体作りを指導してくださったのはJapanマラソンクラブ主催の牧野仁さん。一般ランナー向けのトレーニングや生活指導を行うランニングトレーナーです。

Japanマラソンクラブ 主催 牧野仁さん

「身体を鍛えるといっても、まず運動用の靴すら持っていない人が最近は多いです(笑)。運動の習慣がない方の第一関門は、まず家の玄関を出ること。外に出るのも最初は億劫ですよね。なので、まずは気づいたときに姿勢を正してみることから始めましょう」

姿勢を正しくトレーニングすると、それだけで腹筋を鍛えることができるそう。どんなに忙しい人でも、姿勢を意識するだけなら毎日続けられるはずです。

「一見、よい姿勢に見えますが、胸を張って無理に腰を反らせるのはまちがいです。腰はそもそも反っているものなので、腹筋を使わずに長時間その姿勢をとると腰痛の原因になってしまいます。背中を反らせるのではなく、下腹に力を入れてお腹を凹ませる意識をしてみてください。ベルトの下あたりに手を当て、グッとお腹を押してあげると分かりやすいです」

構造上、放っておくと伸びてしまう下腹の腹筋。これを手で押して縮めてあげると、自然と背筋が伸び、きれいな姿勢が生まれます。でも実際やってみると、姿勢を保つだけなのに意外とキツイ……!

「まずは5秒間で大丈夫。毎日、気がついたときにこの姿勢トレーニングをしてみてください」

少しでも身体に意識を向ける癖をつけることが大切。最初から無理のあるプランを立てず、「姿勢トレーニングを続けること」を最初の目標にしましょう。

ウォーキングやジョギングも
姿勢から整え、無理なく続ける。

一度自分の身体を意識する習慣がついたら、外に出てもっと動きたくなるはず。疲れにくい身体作りの第一歩はウォーキングです。

「実は、いきなりジョギングから入ると姿勢が悪くなってしまいがち。猫背になるし、膝は痛くなるし、いいことなしです。まずは3段階のウォーキングで姿勢を意識しながら動いてみましょう」

メトロノームアプリを使ってテンポを測りながら歩いてみよう。
「(1)まずはいつもの速さで。普通に歩くだけだと目線が下に落ちているのが分かります。(2)テンポを少し速くします。スピードが上がると背筋が自然と伸びるんです。目線を上げないと進めないように身体はできているんですね。(3)さらにスピードを上げて早歩き。テンポが速いので腕を曲げて素早く動かさないと追いつきません。これがジョギングの基礎となる姿勢です」

早歩きで、正しい姿勢のまま身体が前に進むのを感じたら、それを助走に軽くジョギング。これを短い距離で何度も繰り返すことで、背筋を伸ばした美しいフォームで無理なく走れるようになります。

「正しい姿勢を作ったら、まずは週3回・30分間ウォーキングの習慣化を目指しましょう。その内の1回を20分ウォーキング+少しのジョギングに変えて、徐々に走れるようになると理想的です」

鍛えにくいお尻こそ
効率的にトレーニング。

どんなにスリムでも筋肉がなければ「疲れやすい身体」予備軍。「疲れ知らずの身体」を目指すなら、腹筋や背筋だけでなく、筋肉がつきにくいパーツも効率よくトレーニングしたいものです。

「意外にきちんとしたトレーニング方法が知られていないのはお尻。みなさんお尻を引き締めると言ってお尻の穴を締めているだけの場合が多いんです。ポイントはバレリーナのように少しガニ股になって足先を開くこと。この立ち方で、お尻の筋肉に手をあて、お尻をキュッと締めてみましょう。立ちながら力を入れるだけでトレーニングになります」

お尻トレーニングはO脚が気になる人にもおすすめ。お尻を上手く引き締められるようになると、内ももの筋肉が鍛えられ、足の間がくっつくようになるそう。最初は手で横からお尻を押してあげるだけでも効果あり。
もっと本格的に鍛えたい人はスクワットの動きをプラス。足を肩幅より広めに開いて、つま先を外にむけましょう。最初の姿勢は椅子に座っていてもOK。立ち上がるときに、お尻に力を入れて引き締めよう。

特に、今年こそ痩せようとこっそり願う女性の方。今年は体重を落とすだけのダイエットではなく、筋肉をつける健康的な身体作りに挑戦してみてください。

意識を変えれば、身体も変わる。

疲れ知らずの身体を作るには運動だけではなく、食事にも意識を向けることが大切です。

疲れにくい身体を作る食事法
1)よく噛んで食べる。
2)食べるときも姿勢良く。
3)自分で身体にいいと思うものをチョイスする。

「いちばん大切なのは(3)の身体にいいと思うものを自分で選ぶこと。身体にいいことをしていると思い込むだけでも、自然と食べ物の選択が変わり、効果があります。難しい栄養の管理は、そういうポジティブな意識が身についてからすればいい」

「疲れ知らずの身体作り」とは、要は意識の差なのだと牧野さんは言います。
「普段は食生活が乱れがちな人も旅先では突然早起きをしてヘルシーなご飯を食べたりする。普段できないんじゃなくて、やる気が起きないだけなんですね」

疲れたからと家でゴロゴロしてしまうのもそれと同じ。不健康の連鎖にはまるのではなく、普段から身体を動かそうと意識すること、健康にいいものを食べようと意識すること。そういう意識の変化が、少しずつですが確実にあなたの身体を変えてくれるはずです。

INFORMATION

牧野仁(まきのひとし)
一般ランナーを完走に導く「マラソン完走請負人」。ランニングスクール「Japanマラソンクラブ」主催。テレビ・雑誌でも人気のインストラクター。著書に『フルマラソンスタートBOOK』(エイ出版社)、『30代から始める男ランニング』(スタジオタッククリエイティブ)など。
URL/http://www.jmcrun.com

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