おいしく“たべる”。<連載>

「やせおか」の著者オススメ!
冬の納豆パワーレシピ

撮影/栗原大輔[Roaster] 取材・文/山下俊太[Roaster]

厳しい寒さと年末年始の忙しさで体調を崩しがちなこの季節。健康を保ち、内側から元気になれるよう、普段の食生活から見直してみませんか? 今回は、料理研究家として活躍する柳澤英子(やなぎさわえいこ)さんを訪ねました。普段の食生活で気をつけるべきポイントともに、柳澤さんが注目しているという日本の代表的な健康食・納豆を使った簡単レシピも教えていただきました。

自身も体型に悩んだ過去が。
キーワードは“標準体重”

編集者・ライターとして料理関連のメディアの制作活動に関わるとともに、レシピ開発にも注力してきた柳澤さん。忙しい人でも手軽に作れる多彩なレシピを提案し、著書『やせるおかず 作りおき』などの『やせおか』シリーズ(小学館)は累計258万部を超える大ヒットに。今でこそロングセラーのレシピ本まで出している柳澤さんですが、健康メニューの数々を考案することになったきっかけは、自身の体型へのコンプレックスだったのだとか。

「幼いころから食いしん坊でぽっちゃり体型だった私は、話題のダイエット法や運動を試しては長続きせずにリバウンド、というのを繰り返してばかりでした。しかし、50歳を過ぎたあたりで、いよいよ健康面で危機感を抱き、本気でダイエットに取り組む決意をしました。そうしてたどり着いたのが、“ゆるく”糖質を制限する食事法なんです」

実践法としてはご飯やパン、麺類など糖質量が多い炭水化物の量を減らし、野菜や海藻類を積極的に使用したメニューを中心に摂るというもの。しかし、カロリー制限はしないので、肉や魚は我慢せずに食べていたそうです。

「この食べ方を続けて1年で26キロの減量に成功しました。やせる、というよりは自分の標準体重に近づいたイメージ。その後はリバウンドすることなく、炭水化物の制限を緩めても太りにくい体質になりました」

また、食べる順番にも気をつけ、まず食物繊維の多い野菜や、ヨーグルト、納豆といった発酵食品で、次にタンパク質、最後に炭水化物の順で。そうすることで、血糖値の急上昇を避けることができると言われています。血糖値が急上昇すると、使い切れなかった糖を脂肪に変えて蓄える働きのあるインスリンが大量に分泌され、太りやすくなるそうです。

著書を手にした柳澤さん。おつまみや冷凍保存できる料理など、幅広いシーンにおいて、食生活をラクに改善できるアイデアがいっぱい

「私の著書を読んでくださった方から『家族をやせさせたいけど、ダイエットのための食事を食べてくれない』という意見をいただいたのですが、それが『やせおか』シリーズのレシピ作りのヒントになりました。ダイエットのための食事って、どうしても味気なかったり、少量だったりでおいしくないイメージ。それがストレスになったり、反動で食べ過ぎてしまうことによるリバウンドにつながります。だから、味も量も満足感があって食べながら痩せられるレシピを、とリクエストに応えていくうちに9冊ほどのシリーズにまでなったんです」

そんな柳澤さんがオススメするのが、納豆を取り入れた食生活です。

日本が誇るスーパーフード
納豆を食べる習慣をつけよう

「納豆は日本人にとって最も身近なスーパーフード! 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく含んでいて、健康美容の強い味方である大豆由来のイソフラボンをはじめ、腸に良いとされている酵素や栄養素もいっぱい。独特のネバネバに含まれるナットウキナーゼは、血栓溶解作用があるとされ、血液もサラサラに! 黒豆やひきわりというように、味わいも食感もバリエーションがあるので調理の幅も広く、工夫次第でレシピは無限大です」

ここからは、体調を崩しがちな冬にこそ試してほしい、忙しい時でもささっと作れる納豆レシピをご紹介してもらいましょう!

カンタン納豆レシピ1

カルシウムで丈夫な体に!
納豆チーズオムレツ

「チーズと納豆を玉子で包むだけで簡単にできるオムレツ。フライパンひとつで調理が完結するので、洗い物が少なくなるのもうれしいポイントですよね。おかずを1品増やしたい時や、おつまみにもおすすめ」

材料:(2合分)

  • 納豆(ひきわり)

    1パック

  • ピザ用チーズ

    40g

  • 刻んだ万能ネギ

    お好みで

  • 2個

  • オリーブオイル

    少々

  • 塩・こしょう

    各少々

1. フライパンに、卵、オリーブオイル、塩、こしょうを入れて混ぜる。そして中火にかける
2. 卵が固まってきたところで弱火に。チーズ、納豆、ネギをのせます
3. チーズが溶けてきたら、卵で包むように二つ折りに。これで完成!

「チーズは納豆に似て、低糖質にも関わらずタンパク質や脂質が多いので、体の元気のために積極的に取り入れたい食材です。また、体内に吸収されやすいカルシウムが含まれているので、丈夫な骨や歯を作るのに効果的。納豆はひきわりをチョイスしましょう。粒納豆と違い皮がなく食感がなめらかなので、とろとろのチーズともなじみます」

カンタン納豆レシピ2

加熱なしで乗せるだけ!
納豆アボカドキムチ

「発酵食品同士は相性が良く、納豆に含まれる納豆菌が、キムチに含まれる整腸作用のある乳酸菌の働きを助けるとされています。さらに食物繊維が豊富で栄養価が高いアボカドをプラス。見た目も楽しく、食べ応えもバッチリな健康レシピです」

材料:(2合分)

  • 納豆

    1パック

  • アボガド

    1個

  • キムチ

    40g

1.アボカドを半分に切り分け、種を取り出します。くぼみに、納豆を入れます。納豆には付属のタレや、醤油などをさしてお好みに味付け
2.納豆の上にキムチを添えれば、あっという間に完成

「アボカドはデトックス効果が期待でき、脂肪の燃焼にも良いので美容におすすめの食材。何より盛り付けるだけで存在感のある料理になる手軽さがポイント! 納豆のツブツブ、アボカドのなめらかさといった食感も楽しんでほしいですね」

さりげなく食卓に。
いつもの食事に納豆を1パック

「私は納豆の名産地・茨城県出身ということもあり、子供のころからの大好物。自分や家族が飽きないよう納豆の調理法をアレンジするうちに、レシピも数え切れないくらい膨れ上がってしまって(笑)。納豆をはじめ、お酢や味噌などの発酵食品や生の食材に含まれる酵素は、消化吸収をスムーズにしてくれます。特に胃が空っぽになっている朝に食べるのがおすすめですよ。私もほぼ毎日食べているおかげか、毎日腸が健康! 腸内環境が改善されると代謝も良くなり、体調が整うので気持ちまで元気になれます」

「今回は短時間で作れるヘルシーレシピをご紹介しましたが、食べる順番やタイミングも大事。例えば、起きてから最初に取り入れる食べ物を、野菜→タンパク質→炭水化物など、ちょっと意識するだけでもよいです。意識することで生活サイクルにリズムが生まれてきますから。まずは小さな積み重ねを習慣化していきましょう。
そして、体型や体質を変えたいなら、まずは無理をしないことが大切。健康のためとはいえ、短期的に特別なことをすると、飽きたり辛くなったりで結局継続することが難しくなりますよね。でもちょっとした意識や工夫によって、身体にも心にもストレスを与えることなく食生活を改善することができる。その第一歩として、まずは食卓に納豆を1パック分、加えるところからチャレンジしてみて。腸の元気を保って、この冬を健康に乗り切りましょう」

INFORMATION

柳澤英子
料理研究家/編集者
編集者・ライターとして料理関連のメディア制作活動に長く携わる。独自の食事法に基づく健康レシピが好評。『夫もやせるおかず 作りおき』や『全部レンチン!やせるおかず 作りおき』などの『やせおか』シリーズ(小学館)は累計2 5 8 万部超の大ヒット。
公式ウェブサイト:http://eiko-yanagisawa.com

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