おいしく“たべる”。<連載>

種類豊富で栄養満点!  スーパーフードを無理なく取り入れて活力UP

撮影/菅原景子 取材・文/和栗恵

スーパーフードと呼ばれる健康によい栄養分を豊富に含みながら、多くは低カロリーである食品が並んでいる

「スーパーフード」という言葉が生まれたのは、1980年代。アメリカやカナダで食事療法を研究する医師や専門家の間で使われるようになったのがはじまりです。その後、2004年にアメリカの医師が著書の中で「健康によい栄養分を豊富に含みながら、多くは低カロリーである食品」と定義、紹介したことから、一般的に広まりました。
日本では、海外の人気モデルが食生活にスーパーフードを取り入れたことをきっかけに、健康意識の高い人たちを中心に人気を集めています。とはいえ「体にいいことは知っているけれど、どうやって取り入れればいいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は健康にはもちろん美容にも効果が期待できるというスーパーフードの魅力や、おすすめの取り入れ方を、スーパーフードに詳しい管理栄養士・浅野まみこさんにお聞きしました。

スーパーフードって何?
まずは基礎知識をお勉強

スーパーフードを紹介する管理栄養士・浅野まみこさん

「一般社団法人 日本スーパーフード協会」によると、スーパーフードとは以下のように定義されています。

▶栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
▶一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。

引用:スーパーフードとは|一般社団法人 日本スーパーフード協会

「意識しないと摂取しづらい栄養素が含まれているので、普段の食生活で効率よく栄養をとりたいという方におすすめなのがスーパーフードです。サプリメントなど人工的な栄養と違い、ナチュラルなのもスーパーフードのうれしいポイントです」と、浅野さん。

いつもの食事にプラスするだけで、より健康によい成分を摂取できるとされるスーパーフード。いったいどのような種類があり、どんな効果が期待できるのでしょうか。

スーパーフードに詳しい管理栄養士・浅野まみこさんの紹介
管理栄養士として18,000件以上の栄養指導を行った経験を活かし、企業の健康管理や商品開発、健康事業コンサルティングをはじめ講演・イベント出演など多方面で活躍中の浅野さん。コンビニ食材を使った食生活改善など現代社会に根付いた食の提案も行っています。

気になる効果は?
種類とともにご紹介

スピルリナ、マカ、カカオ、チアシード、ブロッコリースーパースプラウト…スーパーフードと呼ばれる食材は多岐に渡りますが、食事として取り入れることで、私たちの体にどのような効果が期待できるのでしょうか。
気になる効果別に、積極的に取り入れたいスーパーフードについて教えていただきました。種類によって違いはありますが、2〜3日で効果が現れる人も。

・ダイエット中なら… チアシード、カカオ
「ダイエット中の方は、代謝を高めることが求められるかと思います。そこでのおすすめは、チアシードとカカオ。
メキシコやグアテマラなど中南米原産のシソ科の植物の種子であるチアシード。そのままサラダなどにトッピングすることも可能ですが、浸水させると膨らんでジェル状に。このジェルは『グルコマンナン』というこんにゃくにも含まれる食物繊維で整腸効果が期待できます。
カカオも同様に腸内環境を整えることが知られているので、高カカオチョコレートを取り入れてもよいでしょう」
・疲れているときにおすすめなのは… モリンガ、カカオ
「『奇跡の木』とも呼ばれるモリンガは、近年注目を集めているスーパーフード。抗うつ、血圧調整、コレステロール値の低下など、現代社会で忙しく働く人にうれしい効能が期待できます。オンラインショップで購入できる粉末タイプのものは、日本人の食生活にも取り入れやすいですよ。
カカオは疲労回復やリラックス効果が期待でき、また、集中力を高める作用もあるといわれています。
この2つには良質な睡眠をもたらす『GABA(ギャバ)』が含まれているので、しっかり寝て疲労回復したいという方におすすめ」
・むくみが気になったら… スピルリナ、マキベリー、アサイー、モリンガ
「むくみは皮下組織に水分が溜まっている状態。水分や塩分の摂りすぎ、運動不足などでも起こります。むくみ改善に効果的なのは、細胞の浸透圧を維持し、腎臓でナトリウムの再吸収を抑制して塩分の排出を促すカリウムが豊富なスーパーフード。カリウムはむくみの改善だけでなく、高血圧や筋肉の維持にも役立ちます。
カリウムが含まれているのは、藻の一種であるスピルリナ、チリ南部に自生する植物の果実マキベリー、ヤシ科の植物の果実アサイー、そしてモリンガなど。マキベリーやアサイーはスムージーにすると手軽に栄養をとることができます。スピルリナはモリンガ同様、オンラインショップで買える粉末タイプが便利です」
・便秘が気になる人には… キヌア、アマランサス、チアシード
「腸内環境の改善に役立つのは、乳酸菌などの善玉菌と、善玉菌のエサになる食物繊維です。白米に比べて食物繊維が豊富な雑穀や種子類を取り入れて、腸内の善玉菌を増やすことからはじめましょう。
日本でも耳にすることが多くなったキヌア。白米の食物繊維が100gあたり0.5gに対して、キヌアは100gあたり6.2gの食物繊維を含んでいます。さらに、玄米に比べて2倍のたんぱく質と鉄分、5倍のカルシウムを含む優れた雑穀です。
雑穀の中で最も小粒のアマランサスは、造血や血流の促進を助ける葉酸が含まれる女性にうれしいスーパーフード。雑穀類はお米と一緒に炊くとおいしく食べられ、ミネラルの補給にも役立ちます。
チアシードは食物繊維とともにオメガ3系脂肪酸である『α-リノレン酸』が豊富で、中性脂肪値の低下も期待できます」
・風邪予防など免疫力UPに… マヌカハニー、ブロッコリースプラウト、クレソン
「豊富な栄養が含まれているはちみつも、スーパーフードの1つ。中でもニュージーランドで採取される『マヌカハニー』は、ほかのはちみつにはほとんど含まれない『メチルグリオキサール』という抗菌作用をもたらす成分が含まれ、免疫力アップが期待できます。メチルグリオキサールの含有量は『UMF®』『MG(またはMGO)』『MGS』いずれかの基準で数値化されており、はちみつのラベルに記載されています。いずれもグレード(数値)が高いほど抗菌作用が上がり、同時に希少性も増します。
ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトには、抗炎症作用や免疫細胞を助ける働きが期待される『スルフォラファン』が豊富。
クレソンは、米国の研究者たちから『世界で最も栄養素密度(※1)が高い野菜』に選ばれたヘルシー食材。免疫ケアに必要なビタミンCのほか、抗酸化作用のβカロテン、女性に必須の葉酸、鉄などが豊富に含まれます。デトックス作用や血液浄化作用も期待できるとあって、世界中が注目しています」

(※1)食品の一定のエネルギーあたりに含まれる栄養素の量。

日本の食生活に無理なく
取り入れるテクニックとは

日本食にかかせない昆布、味噌、にぼし、抹茶の写真
写真上から右周りに昆布、味噌、にぼし、抹茶。どれも古くから日本の食生活に欠かせないもの。

体によい影響をもたらすスーパーフード。これらを手軽に日常的に取り入れるには、どのような工夫が必要なのでしょうか。

「日本で伝統的に食べられている食品にも、スーパーフードとして注目を集めているものがあります。
今、特に注目を集めているのが『海藻』。これまで日本をはじめとするアジアの沿岸地域以外ではあまり海藻が食べられていませんでしたが、欧米の健康食トレンドとして海藻が話題に。昆布やわかめ、ひじきといった海藻類は、お味噌汁に入れるのが手軽です。
発酵食品である味噌や納豆、麴甘酒、カルシウムが豊富な小魚、カテキンが豊富な抹茶や緑茶なども、日常的に取り入れやすい食材。
和食を中心にすれば、自然とスーパーフードを習慣化することができます。

浅野さんによると、スーパーフードを間食として活用することで、栄養補給はもちろん、ダイエットのサポートにもなるといいます。

間食に向いている、くるみ、アーモンド、なつめ(ドライ)、マヌカハニーの写真
写真上から右周りにくるみ、アーモンド、なつめ(ドライ)、マヌカハニー。なつめとマヌカハニーは自然食品店やインターネットで探してみてくださいね。

「アンチエイジング効果が期待できるアーモンド、オメガ3脂肪酸を豊富に含むくるみ、ビタミンB1やビタミンCが含まれるゴジベリー(=クコの実)、鉄分やマグネシウムなどミネラルが豊富ななつめ(ドライ)など、そのままの状態で食べられる木の実系のスーパーフードは間食にピッタリ。仕事の合間に食べれば疲労回復効果も期待できます。
濃厚な甘さが特徴のマヌカハニーは、満足感が高いのでこちらも間食に。ヨーグルトに加えて食べるのがおすすめ」

日本ではあまり馴染みのないスーパーフードは、粉末や錠剤タイプなど、さまざまな状態に加工されて売られています。どのように取り入れるのがおすすめか、浅野さんに聞いてみました。

間食に向いている、くるみ、アーモンド、なつめ(ドライ)、マヌカハニーの写真

「スピルリナやアサイー、モリンガ、ターメリックなど粉末状になっているものは、ヨーグルトに混ぜたり、ドレッシングやスープにプラスすると食べやすくなります。
雑穀類はお米と一緒に炊き込むのが定番ですが、炒って(加熱して)からドレッシングやスープに入れるのもおすすめ。
アサイーやスピルリナなど色がきれいで味の邪魔をしないものは、パンケーキの生地に混ぜ込んでもOK。さまざまな料理にプラスして、自分好みの食べ方を探すのも楽しいですよ」

日本人の食生活にも取り入れやすい乾燥タイプのスーパーフード。誰でもすぐにマネできる方法を、2つご紹介します。

お手軽アレンジ1
チアシードジュース

チアシードジュース

「コップ1杯分のりんごジュースやオレンジジュースに、チアシード大さじ1を入れてしばらく置き、膨らんでジェル状になったら完成。プチプチ&ツルンとした食感が楽しい、おやつ代わりにもなるジュースです」

お手軽アレンジ2
モリンガ・スピルリナの ヨーグルト和え

モリンガ・スピルリナのヨーグルト和え

「モリンガやスピルリナ、アサイーなどの粉末は、ヨーグルトにお好みの量をプラスするだけで栄養満点のヘルシーデザートにパワーアップ。粉末状なので溶けやすく、鮮やかな色合いに気分も上がります。
バナナやベリーなどのフルーツを添えてもOK。スーパーフードを手軽に食べて、健康づくりを目指してみてください」

スーパーフードで日常を
もっと楽しく健康的に!

管理栄養士・浅野まみこさん

「どんなにバランスのよい食生活を心がけても、必要な量のビタミンやミネラルを摂取するのはなかなか難しいもの。サプリメントで補給するのもいいですが、摂取量がわかりにくかったり、取り過ぎによる副作用が気になることも。
スーパーフードは、天然の食材であることが魅力のひとつ。オンラインショップで購入できるほか、大型のスーパーマーケットやドラッグストアでも購入可能です。
いつもの食生活にプラスして、『食べて健康』を目指してみませんか?」

INFORMATION

浅野まみこ
管理栄養士、株式会社エビータ代表取締役。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて数々の栄養相談を実施。その経験を生かし、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍。TVや雑誌などのメディア出演も多数。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動中。
URL/https://e-vita.jp/profile/

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